恐らく知らない人はほとんどいないであろう「知床」。
でも、「知床ってそもそもどこにあって、どういうところが良いの?」とお思いのあなた。
今回はそんな誰もが聞いたことはある知床について掘り下げていこうと思います!
知床とは
「知床とは」なんていちいち説明必要でしょうか?
実は、必要です。歴史とかスペック云々のめんどくさい話ではありません。
まず、どこですか?に対して「北海道の右のとんがったとこ」という答えを不正解にはしませんが、実は正解でもありません。
あのあたりは知床半島で地形の名称です。
そもそも恐ろしいことに「知床」という地名はありません。
あの辺りを構成している市町村は斜里町と羅臼町です。
もちろん「〜岬」「〜五湖」という知床を冠した自然地形は存在しますが、いわゆる住所としては存在していません。
地域の人も世界自然遺産に登録するほどガッツがあり団結力も十分ですが、地名の整備にまでは考えが及ばなかったのでしょうか。
それとも「漠然とこのあたり」にしておいたほうが覇権争いみたいなのが起こらず平和なのでしょうか。
実際行ってみると、とても魅力的な場所で個人的には大好きです。
毎年夏に、もう20回以上同じ宿に泊まってます。
知床という地名はないけど問題?
地名がないからといって問題ですか?
若干問題があります。
最近はだいぶ落ち着いてきましたが観光客の人が平日も結構団体で観光されています。
同じ場所を愛する同士の人たち、と言いたいところですが、ここでどうしても合点のいかない点があります。
それは、彼らの恐らく多くは「なんとなく知床あたり」、つまりピンポイントで「フレペの滝がみたい」とか「カムイワッカの湯に入る」という目的で訪れるのではなく、「世界自然遺産に選ばれたんだからすごいんだろ、何か見せろ」、という観光地の肩書きに重点をおいた「漠然と知床」を見に来た人たちだからです。
原因のひとつとして、「ここが知床!」という地点がないため、観光の行程全体がなんとなくぼやけて、印象薄く何となく帰ってゆくのではないかと感じます。
楽しみに来ている人たちをさげすむ訳では全然ありません。
本当の知床の魅力を見てほしいので、とても残念なのです。
世界遺産にこだわらなくてもよくない??
そもそも自然遺産エリアは立ち入り禁止なので、言葉尻をとらえると「世界遺産に行ってきた」は、法律だか条例だかに違反していることになってしまいます。
船から岸壁ごしに眺めてきた、と言わなくてはなりません。
ツアー会社もどうしても「THE知床」を特定できずに迷走しています。
勢いこれで納得してください的にお客さんを連れてゆくのは、知床五湖と半島まわりのクルーズ船でしょうか。
正直言って五湖は本州の気の利いた湖よりちょっといまいちかな・・・くらい、船は半島の岸壁を遠くから眺めて帰ってくるだけなので、お客さんのリピートの率はあまり高くないような気がします。
ツアー会社の人も難しいと思います。
パンフレットにはがっつり「世界自然遺産」と入れているのに実際に立ち入るわけには行かない。
でも世界遺産を見たことにして帰ってもらわないと詐欺になってしまいますからね。
私は実はこの世界遺産にこだわることが知床旅行の魅力を下げてしまっていると考えます。
斜里からウトロに向かう海岸沿いの道はおすすめ!
個人的におすすめなのは、まず、斜里からウトロに向かう海岸沿いの道でしょうか。
観光地としての名前がついていないので、伝聞しかしない人たちの間には話題に上りにくいでしょうが、個人的にはここが良いです。
良いというか、実はとても怖い雰囲気を持っている場所なのですが、独特の非日常感がクセになっています。
海岸からそそり立つ岩肌の色がとても暗く(力強く)、すぐ下を通ると、「自分の生命をなげうって立ち向かって行っても何事も起こらない。逆にこの壁が襲いかかってきたら自分の生命なんて何事もなかったように蒸発してしまう」という感覚が全身を捻り上げ、そんな事起こらない、という普段の理性を頭から絞り出してしまいます。
ですが、とてつもない恐怖感に身を浸していると、「結局自分も地球の物質の一部なんだ」という不思議な感覚に変わってくるのが病み付きになり、ひたすら通っています。
ここは自然遺産とは関係ないエリアですが、知床半島の神々しさを一番感じる場所です。
ここまで感じるかどうかは当然個人差はあると思いますが、「圧倒的な非日常」というくらいまではどなたでも感じられる感覚だと思います。
知床の夕日は超おすすめ!
これは、特定の場所ではないのですが、「夕日」がとても良いです。
東京で見ようと知床で見ようと太陽は太陽なのですが、やはり違います。
当然理由は空気(大気)でしょう。
ちりやほこりがないことと湿度の関係なのでしょうか、すみません、詳しくはわかりませんが、色が全然違います。
まず、昼間の青空から違うのです。
普通の青空は例えて言えば濃い水色です。
でもオホーツク海沿岸の青空は、一段濃くて少し紫を混ぜたような藍色とでも言うのでしょうか。
そして、夕日というか夕焼けの色は普通オレンジ、もしくは赤というイメージが一般的で、段々グレーが混ざってきて夜の黒い空になるという感じですが、いままで知床で見た一番きれいな夕焼けは、藍色だった昼の空に太陽の赤が混ざって紫になり、それが濃くなって行って黒くならずに濃い紫のまま、みたいな感じでした。
いつも見ている空は、きれいなようで少しくすんでいるんだなという思いがしました。
知床のマップ(地図)
知床のマップ(地図)になります。
まとめ
「色を見に行ってきた」と言ったら酔狂扱いされるかな、と思ったので人には言わずに過ごしていましたが、何年か前に「北海道の色を見に来てください」というキャンペーンをしていたので、とても合点のいった覚えがあります。
「色を見に来い」はとても勇気がいると思います。
逆に世界遺産の権威に乗っかるのはとてもらくちんです。
まあ、どんなキャンペーンをしても知床はずっと変わらず知床なんでしょうけれどね。
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